18章 塗 装 工 事
3節 錆止め塗料塗り
18.3.1 一般事項
この節は,鉄鋼面及び亜鉛メッキ鋼面の錆止め塗料塗りに適用する。
18.3.2 塗料種別
(1).鉄鋼面錆止め塗料の種別は表18.3.1のA種とする。
但し、8節の場合はA種又はB種とし、適用は特記による。
特記がなければ、B種とする。
表18.3.1 鉄鋼面錆止め塗料の種別 | ||||||
種 別 | 錆 止 め 塗 料 そ の 他 | 塗付量 (Kg/u) |
標準膜厚 (μm) |
適 用 | ||
規 格 番 号 | 規格名称 | 種 類 | ||||
A 種 | JIS K 5674 | 鉛・クロムフリー錆止めペイント | 1 種 | 0.10 | 30 | 屋外・屋内 |
B 種 | 次のいずれかによる。 | ― | ― | |||
JASS 18 M-111 | 水系錆止めペイント | 0.11 | 30 | 屋内 | ||
JIS K 5674 | 鉛・クロムフリー錆止めペイント | 2 種 | 0.11 | 30 | ||
(注) 1.JIS K 5674(鉛・クロムフリー錆止めペイント)に基づき、1種は溶剤系、2種は水系である。 2.JASS 18 M-111は、日本建築学会材料規格である。 |
(2).亜鉛メッキ鋼面錆止め塗料の種別は表18.3.2のA種又はB種とし、
適用は特記による。
特記がなければ、A種とする。但し、8節の場合はC種とする。
表18.3.2 亜鉛メッキ鋼面錆止め塗料の種別 | |||||
種別 | 錆 止 め 塗 料 そ の 他 | 塗付量 (Kg/u) |
標準膜厚 (μm) |
適 用 | |
規 格 番 号 | 規 格 名 称 | ||||
A種 | JPMS 28 | 1液形変性エポキシ 樹脂錆止めペイント |
0.10 | 30 | 屋外・屋内 |
B種 | JASS 18 M-109 | 変性エポキシ樹脂プライマー及び 弱溶剤系変性エポキシ樹脂プライマー |
0.14 | 40 | 屋外・屋内 |
C種 | JASS 18 M-111 | 水系錆止めペイント | 0.11 | 30 | 屋内 |
(注) 1.JPMS 28は日本塗料工業会規格、JASS 18 M−109及びM-111は日本建築学会材料規格である。 2.JPMS 28を使用する場合は、見え隠れ部分を除き、仕上の上塗り等を行う。 |
18.3.3 錆止め塗料塗り
(1).鉄鋼面錆止め塗料塗りは表18.3.3により、種別は特記による。
特記がなければ、見え掛かり部分はA種とし、見え隠れ部分はB種とする。
表18.3.3 鉄鋼面錆止め塗料塗り | ||||
工 程 | 種 別 | 塗り工法その他 | ||
A 種 | B 種 | |||
素地ごしらえ | ◯(注) | 18.2.3による。 | ||
1 | 錆止め塗料塗り(下塗り1回目) | ◯ | ◯ | 18.3.2(1)による。 |
2 | 研磨紙ずり | ◯ | ― | 研磨紙P120〜220 |
3 | 錆止め塗料塗り(下塗り2回目) | ◯ | ◯ | 18.3.2(1)による。 |
(注)素地ごしらえの種別は、塗り工法その他の欄による。 |
(2).鉄骨等鉄鋼面の錆止め塗料塗り工法は,次による。
(ア).2回目を鉄骨等の製作工場で塗る場合は、次による。
(a)1回目の錆止め塗料塗りは,製作工場において組立後に行う。
但し,組立て後,塗装困難となる部分は,組立て前に錆止め塗料を2回塗る。
(b)必要に応じて、汚れ、付着物等を除去した後、塗膜の損傷部分の補修塗りを行い、
乾燥後に2回目を塗る。
(c)工事現場での建て方及び接合完了後、塗膜の損傷部分は、汚れ、付着物等を除去し
た後、錆止め塗料で補修する。
また、接合部の未塗装部分は、汚れ、付着物、スパッタ―等を除去した後、錆止め塗料
を2回塗る。
(イ).2回目を工事現場で塗る場合は、次による。
(a)1回目の錆止め塗料塗りは、(ア)(a)による。
(b)工事現場での建方及び接合完了後,塗膜の損傷部分は、汚れ、付着物等を除去し
た後、錆止め塗料で補修し、乾燥後に2回目を塗る。
また、接合部の未塗装部分は、(ア)(c)による。。
(3).亜鉛メッキ鋼面錆止め塗料塗りは表18.3.4により、種別は特記による。
特記がなければ、鋼製の建具はA種とし,その他はB種とする。
但し、B種に用いる錆止め塗料は表18.3.2のB種とし、8節の場合はC種とする。
表18.3.4 亜鉛メッキ鋼面錆止め塗料塗り | ||||
工 程 | 種 別 | 塗り工法その他 | ||
A 種 | B 種 | |||
素地ごしらえ | ◯(注) | ― | 表18.2.3によるA種。 但し、鋼製建具等はB種 |
|
― | ◯(注) | 表18.2.3によるB種。 | ||
1 | 錆止め塗料塗り(下塗り1回目) | ◯ | ◯ | 18.3.2(2)による。 |
2 | 研磨紙ずり | ◯ | ― | 研磨紙P180〜240 |
3 | 錆止め塗料塗り(下塗り2回目) | ◯ | ― | 18.3.2(2)による。 |
(注)素地ごしらえの種別は、塗り工法その他の欄による。 |
(4).鋼製建具等亜鉛めっき鋼面の錆止め塗料塗り工法は,次による。
(ア).1回目の錆止め塗料塗りは、鋼製建具等の製造所において、見え隠れ部分は,組立前の
部材のうちに行う。
また、見え掛かり部分は、組立後、溶接箇所等を修正した後に行う。
(ィ).2回目の錆止め塗料塗りは,工事現場において取付後,汚れ及び付着物を除去し、塗膜
の損傷部を錆止め塗料で補修し、平滑に仕上げた後に行う。
但し,取付後,塗装困難となる部分は,取付に先立ち行う。
(ウ).鋼製建具に用いる鋼板類で鉄鋼面の場合は、(2)の工法による。
(5).錆止め塗料塗りは、次の部分以外の範囲を塗装する。
(ア).7.8.2 〔塗装の範囲〕(1)の(ア)から(オ)までの部分。
(ィ).軽量鉄骨下地の類で亜鉛めっきされたもの。
(ウ).床型枠用鋼製デッキプレートの類で、亜鉛めっきされたもの。
(エ).鋼製建具等で両面フラッシュ戸の表面板裏側部分(中骨、力骨等を含む)の見え隠れ部分。
(参考 : 7.8.2 塗装の範囲)
7.8.2 塗装の範囲
(1) 耐火被覆材の接着する面の塗装範囲は、特記による。また、耐火被覆材の接着する面以外の
塗装範囲は、特記により、特記がなければ、次の部分以外の範囲を塗装する。
(ア) コンクリートに密着する部分及び埋め込まれる部分
(イ) 高力ボルト摩擦接合部の摩擦面
(ウ) 密閉される閉鎖形断面の内面
(エ) ピン、ローラー等密着する部分及び回転又は摺動面で削り仕上げした部分
(オ) 組立によって肌合せとなる部分
(2) 工事現場で溶接を行う部分であっても、溶接に支障となる錆が発生するおそれのある場合は、
溶接に支障のない適切な防錆措置を講ずる。
(3) 工事現場で溶接を行う部分の両側それぞれ 100mm 程度の範囲及び超音波探傷試験に支障を及
ぼす範囲の塗装は、超音波探傷試験の完了後に行う。
7.8.3 工事現場塗装
18.3.3[錆止め塗料塗り](2)による錆止め塗料塗りの工事現場塗装は、次による。
(ア) 工事現場で組み立てた接合部の素地ごしらえは、表 18.2.2 によるC種とし、工場塗装と同種の
錆止め塗料により塗装する。
(イ) 現場搬入後に塗膜が損傷した部分は、活膜を残して除去し、錆止め塗料で補修する。
(ウ) 錆が生じた部分は、旧塗膜を除去し、表 18.2.2 によるC種の素地ごしらえを行った上、錆
止め塗料で補修する。
7.8.4 塗料種別
(1) 鉄骨鉄筋コンクリート造の鋼製スリーブで鉄骨に溶接されたものの内面の錆止め塗料の種別
は、特記による。特記がなければ、表 18.3.1[鉄鋼面錆止め塗料の種別]のA種とする。
(2) 耐火被覆材が接着する面に塗装する場合の錆止め塗料の種別は、特記による。