押出成形セメント板(ラムダ)に対する塗装
8−1 押出成形セメント板に対する塗装
8−1−1.一般事項
@ セメント板は化学的にアルカリ性を呈します。したがって塗料はそれに適合するものから選定することになります。
特に下地塗料の接着が塗膜全体の接着性能を大きく左右します。
「公共建築工事標準仕様書」には押出成形セメント板の下塗り材として「二液形エポキシ樹脂ワニス」が標準とされて
います(製造所の仕様で代用も認められている)、選定の参考にして下さい。
A 下地塗料と上塗り塗料は同一メーカーの指定材料を選択して下さい。
B 塗装の事故として膨れやはがれがあります。これらは一般に基材(ラムダ)に吸水した水分が水蒸気となって圧力
を高め塗膜を持ち上げることにより発生します。
したがって施工段階での吸水や施工後の漏水などが原因となります。
以下に記載した銘柄はJISなどによる浸漬試験合格によってラムダとの接着性を確認したものですが、過剰な水蒸
気は事故につながることがあります。
C 研削板は表面の緻密層が取り除かれているため吸水の状態が未研削のものとは違います。
したがってラムダでは研削板の無塗装での使用は禁止しています。ラムダ15-20-EXシリーズは非研削板です。
ラムダワイドは一部の化粧パネル(RCフェイス素地)を除いて研削板です、したがってラムダワイドは塗装をして
ご使用下さい。
D 撥水防水材は、ラムダ表面層に含浸して、撥水防水効果をより一層高めます。
撥水防水材は浸透性の塗料であるため、ラムダの外観をそのまま生かすことが出来ます。
しかし、撥水材の種類によっては吸い込みムラなどによって部分的に光沢がでたり、ラムダの素板の色ムラが強調
される場合がありますのでご注意下さい。
又、一般塗料より耐用期間が短く、機能を維持するためには再塗装が必要となります。
ラムダワイドは研削板であるため、Cで述べたように塗装が必要です。
撥水材は塗膜の一種ではありますが短期間でメンテナンスが必要となってくるため適当ではありません。
又、外観状態で劣化の判定が難しいこともあります。したがいましてラムダワイドへは撥水材を使用しないで下さい。
E クリア塗装はラムダ素板の色ムラを強調する作用があります。
F ラムダ出隅R(使用素材:GRC)はラムダパネルと材質が違います。
したがって塗料によっては同じ仕上り感が得られないことがあります。
比較的類似した仕上り感の得られる塗料(P.82以降のリスト中「※印」で表示)のなかからお選び下さい。
8−2.寒冷地における塗装
ラムダは寒冷地でも無塗装で十分ご使用になれます。
塗装仕様の場合の注意点として、塗膜は基材内の水分移動に影響を与えるため、塗材の選択によっては基材の損傷
につながることがある点があげられます。
以下に具体的な塗料を推奨していますが、これに限定するものではありません。
基本的選択として下記の選定基準に従ったうえで塗料メーカーとご相談下さい。
8−2−1 一般事項
@ 寒冷地では以下に述べる地域の特色により選定する塗料を変えて下さい。
A 寒冷地の下地塗装は「二液形エポキシ」をご使用下さい。
8−2−2 乾燥型寒冷地における塗料
ここでいう乾燥型寒冷地とは北海道や長野県のように、外気温は−10〜−20℃のも下がりますが外気湿度は比較的
低いというような地域をいいます。
このような地域で凍害が発生する場合、内部結露を原因とするケースが多くあります。
したがいまして内部の水蒸気の放出を妨げない「透湿防水型塗料」をご選択下さい。
ラムダ裏面からの吸水を防止するため「バックシーラー」を施す方法もあります。(バックシーラーは工場加工)
8−2−3 多湿型寒冷地における塗料
ここでいう多湿型寒冷地とは新潟県や富山県のように外気温の低下は低くとも−5℃程度ですが冬期間の降雨雪が多く
外気湿度が高いというような地域をいいます。
このような地域に凍害が発生する場合外部から基材への水分供給を原因とするケースが多くあります。
したがいまして防水能力の高い塗料をご選択下さい。
透湿防水型の塗料は透湿性を重視することにより防水性が犠牲になっているものもあり、適さないケースがあります。
塗膜の変形追従性なども考慮して「弾性型防水塗料(防水形複層塗材・防水形外装薄塗材)」
を推奨いたします。
8−2−4 複合型地域における塗料
うえに寒冷地の地域分類をいたしましたがあくまでも目安であります。
対象物件に予想される凍害発生原因に応じた塗材の選定が必要です。原因が複合すると考えられる場合は通気工法
の選択や設計・施工両面での防水対策の強化などをあわせて考慮して下さい。
※押出成形セメント板に使用する塗料は自由に選択可能という事ではなく、押出成形セメント板に適した塗料
を選択する必要があります。