「指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の提供の方法等を定める省令
(MSDS省令)」の概要

1.MSDS制度とは

 MSDS制度とは、平成11年7月に制定された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質管理促進法又はPRTR法)に基づき、平成13年1月1日から実施される制度。

 制度の内容は、事業者による化学物質の適切な管理を促進するため、対象化学物質を含有する製品を他の事業者に譲渡又は提供する際に、その化学物質の性状及び取扱いに関する情報(MSDS(Material Safety Data Sheet:化学物質等安全データシート))を事前に提供することを義務づけるもの。

 

2.本省令の概要

 本省令は、法第14条に基づき、MSDSの提供の方法、提供すべき事項等について定めるものであり、具体的な内容は以下のとおり。

(1) 指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の提供の方法

 指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報(MSDSのこと。省令中では性状取扱情報と略)を提供する方法は、文書又は磁気ディスクの交付以外にも、現在の事業者間取引において一般的なファクシミリによる送信、電子メールの送付、ホームページへの掲載等の方法についても、指定化学物質等を譲渡し、又は提供する相手方が承諾したことを条件に認める。

(2) 性状取扱情報に含める情報

 性状取扱情報には、以下の情報を含めなければならないこととする。

@ 当該指定化学物質等の名称、含有する第一種指定化学物質又は第二種指定化学物質の名称、含有物質の(特定)第一種指定化学物質又は第二種指定化学物質の別、(特定)第一種指定化学物質又は第二種指定化学物質の含有率

A 当該指定化学物質等取扱事業者の氏名又は名称、住所及び連絡先

B 当該指定化学物質等が漏出した際に必要な措置

C 当該指定化学物質等の取扱い上及び保管上の注意

D 当該指定化学物質等の物理的化学的性状

E 当該指定化学物質等の安定性及び反応性

F 当該指定化学物質等の有害性、暴露性

G 当該指定化学物質の廃棄上、輸送上の注意

 また、性状取扱情報には、以下の事項を含めることができることとする。

H 有害性、暴露性の概要
I 応急措置、火災時の措置、従業員に対する暴露防止及び保護措置
J 当該指定化学物質等について適用される法令
K その他当該指定化学物質等取扱事業者が必要と認める事項

※ 「指定化学物質等」

 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令(平成12年政令第86号)で定める第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質並びにこれらを含有する製品で同令で定める要件を満たすものを「指定化学物質等」としている。

※ 「指定化学物質等取扱事業者」

 「指定化学物質等」を業として取扱う者のことで、MSDSの提供義務が課される。PRTR制度と異なり、業種・常用雇用者数等の裾切り要件はない。

※ MSDSにより提供する事項の考え方

 MSDSで提供する事項については、ISO 11014−1及びJIS Z7250において標準化されており、我が国でも既にこれらに従って自主的に提供が行われているため、本法において法律上の義務とする際にも、原則としてJISに定める標準様式に従ってMSDSを提供すれば法律上の義務も果たすことができるよう、JISの記載事項と対応した形で各事項を定めた。具体的には、JISの記載事項のうち、環境の保全上の支障を未然に防止するという本法の目的に照らして提供が必要と考えられる事項については提供を義務づけ、それ以外の事項については、記載することができるとの位置づけとした。

(3) その他情報の提供に関し必要な事項

@ 上記(2) @〜Gの事項は、邦文(日本語)で記載するものとする。

A 上記(2) @の含有率は、上位2けたを有効数字とした数値で記載することとする。

B 性状取扱情報は、原則として指定化学物質等を譲渡し、又は提供する毎に行うこととするが、同じ相手方に同じ情報を反復継続して提供する場合には、提供しなくてもよいこととする(ただし、相手方から提供を求められた場合を除く。)

(4) 施行期日

 平成13年1月1日とする。ただし、平成13年4月1日(PRTR制度の施行予定日)までの間は、法第15条に定める勧告・公表の措置は適用しない。

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