国土交通省の規制

改正建築基準法
(目的)
化学物質の室内濃度が厚生労働省の設定する指針値を超える場合、健康への有害な影響が
生ずる。
国民の健康を確保するための最低基準を、建築基準法に基づき新たな規制を設けた。
規制の基準は室内濃度そのものでなく、当該化学物質の室内濃度を厚生労働省の指針値以下
に抑制するために通常必要な建築材料、換気設備等に関する客観的な構造基準への規制。
(建築基準法が平成14年7月に可決され、平成15年7月1日発効。)
その第二十八条の二
「居室を有する建築物は、その居室内において政令で定める化学物質の発散による衛生上の
支障がないよう建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合するものと
しなければならない。」と制定されました。
それに伴い、「建築基準法関係シックハウス対策の技術的試案について」の政令安が出され、
下記内容にて検討されています。
1.規制対象とする化学物質
クロルピリホス及びホルムアルデヒド
※クロルピリホス : 木造住宅の床下等に使用する有機リン系の防蟻剤
※ホルムアルデヒド : 合板、家具、木質建材などに使用されるホルマリン臭のある気体
クロルピリホスに関する建築材料の規制
  居室を有する建築物には、クロルピリホスを発散するおそれのある建材を使用してはならない。
  (クロルピリホスは換気等で濃度抑制することは困難であり、使用を禁止する。)
ホルムアルデヒドに関する建築材料の規制
  建築物の気密性の区分、居室の種類、換気設備の区分及び建材の等級に応じて、内装仕上
  げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限を行う。
  ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合でも、家具からの発散があるため、在来木
  造住宅等のうち気密性の低いものを除き、全ての建築物に常時換気ができる構造の換気設備
  の設置を義務付ける。
  上記の換気設備を設置した場合には、天井裏等の下地材については、ホルムアルデヒドの発
  散の少ない等級の建材とするか、換気設備を天井裏等も換気できる構造とする。
ホルムアルデヒド発散速度による等級分類及び使用制限
ホルムアルデヒド発散速度による等級分類及び使用制限
区分 発散速度(28℃ 50%RH) 区分記号 使用制限
第1種ホルムアルデヒド
発散建築材料
0.12mg/uh超 使用禁止
第2種ホルムアルデヒド
発散建築材料
0.02mg/uh超
0.12mg/uh以下
F☆☆ 面積制限
第3種ホルムアルデヒド
発散建築材料
0.005mg/uh超
0.02mg/uh以下
F☆☆☆ 面積制限
規制対象外 0.005mg/uh以下 F☆☆☆☆ 制限なし
内装使用制限 0.005mg/m2h以上 床面積の1/10
※最上位の規制対象外は0.005mg/uh以下の製品が該当し、これまで通り無制限に使用することができる。
※第2・3種は法律にもとずいて、施工の面積制限をうける。
 施工面積制限は第2種は床面積の0.3倍、第3種は床面積の2倍使用することができます。
 また、特例として第1種に該当する製品でも、床面積比1/10以下の面積であれば使用することができる。
※規制該当塗料
 ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン・ユリア共縮合、フェノール、レゾルシノール樹脂またはホルムアルデヒド系
 防腐剤を含有しているものは、第1種となり居室に使用できない。
※内装使用制限:非JIS品において、ホルムアルデヒド放散量が0.005mg/m2h以上の製品の場合に、使用量
 を床面積の1/10に制限すること。

JIS規格品の規制分類
改正基準法に伴い、該当する塗料はJIS規格・大臣認定・自主管理規定(日塗工)の何れかの
許可を取らなければならない。
JIS規格品は、新規に制定されるものを含め、以下の通り、規制対象外16品種、放散量分類を
表示しなければならない、放散量分類品11品種に分別される。
なお、建築仕上材JIS K 6909は日本建築仕上材工業会が自主管理規定を検討している。
品     名 規  格 規制分類 等  級
セラックニス類 JIS K 5431 法規制対象外  
アルミニウムペイント JIS K 5492 放散量分類品  
油性調合ペイント JIS K 5511 放散量分類品  
合成樹脂調合ペイント JIS K 5516 放散量分類品  
ニトロセルロースラッカー JIS K 5531 法規制対象外  
ラッカー系シーラー JIS K 5533 法規制対象外  
ラッカー系下地塗料 JIS K 5535 法規制対象外  
フタル酸樹脂ワニス JIS K 5562 放散量分類品  
フタル酸樹脂エナメル JIS K 5572 放散量分類品  
塩化ビニル樹脂ワニス JIS K 5581 法規制対象外  
塩化ビニル樹脂エナメル JIS K 5582 法規制対象外  
塩化ビニル樹脂プライマー JIS K 5583 法規制対象外  
油性系下地塗料 JIS K 5591 放散量分類品  
錆止め塗料 JIS 規格品    
一般さび止めペイント JIS K 5621 放散量分類品  
アクリル樹脂ワニス JIS K 5653 法規制対象外  
アクリル樹脂エナメル JIS K 5654 法規制対象外  
建築用ポリウレタン樹脂塗料 JIS K 5656 法規制対象外  
つや有り合成樹脂エマルションペイント JIS K 5660 法規制対象外  
合成樹脂エマルションペイント JIS K 5663 法規制対象外 シーラー含む
多彩模様塗料 JIS K 5667 放散量分類品  
合成樹脂エマルション模様塗料 JIS K 5668 法規制対象外  
合成樹脂エマルションパテ JIS K 5669 法規制対象外  
家庭用屋内壁塗料 JIS K 5960 法規制対象外  
家庭用屋内木床塗料 JIS K 5961 放散量分類品  
家庭用木部金属部塗料 JIS K 5962 放散量分類品  
アクリル樹脂系非水分散形塗料 JIS K 5670 法規制対象外  
建物用床塗料 JIS K 5970 放散量分類品  
建築用仕上塗材 JIS A 6909    
仕上塗材用下地調整塗材 JIS A 6916    
2.法規制対象及び法規制対象外
居室 : 建築基準法第2条第4号「用語の定義」において、居室とは「居住、執務、作業、集会、
      娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。」と定められて
      います。
      全般的に多くの時間を費やす場所をいう(法規制対象)
(例) 居間・寝室・台所・リビング・書斎・事務室・作業場・体育館・床下収納・押入れ・教室等
居室でない場所(法規制対象外)
(例) 廊下・洗面所・浴室・便所・階段・玄関・浴室・納戸等
居室内の建築材料・設備(法規制対象)
(例) 壁・天井・作り付け家具・床・クローゼット・パーティション・障子・襖・ドア等
居室内の建築材料・設備(法規制対象外)
(例) 家具・欄間・配電盤・換気設備・排気設備・冷房設備等
3.建築基準法とVOCについて
改正建築基準法は、ホルムアルデヒド・クロロピリホスを規定しています。
しかし、文部科学省の規制【学校環境衛生の基準】にみられるように学校ではトルエン・
キシレンなども含めVOC(揮発性有機化合物)について規制いています。
また、厚生労働省は健康に影響のある13品目について有害物質の守るべき濃度を示しており、
すでに、学校・住宅の品質確保に関する法律、官公庁の建物、公営住宅についても規制が行わ
れております。

VOC規制物質と規制動向

室内空気汚染物質名 厚生労働省 建築基準法 学校環境衛生
ホルムアルデヒド
トルエン  
キシレン  
パラジクロロベンゼン  
エチルベンゼン    
スチレン    
クロルピリホス  
フタル酸ジーn−ブチル    
テトラデカン    
フタル酸ジー2−エチルヘキシル    
ダイアジノン    
アセトアルデヒド    
フェノブカルブ    

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