塗料と塗装の欠陥と対策 |
【塗装中に生じる欠陥】 |
たれ・流れ | |||
現象 | 垂直面に塗装した塗料が下に垂れ下がりたまりや縞状になる。 乾燥が遅く、流動性があり、たれ、流れになる。 |
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原因 | @.厚く塗装した。 A.シンナーのうすめすぎ。 B.シンナーで指触乾燥までの時間がかかってしまった。(蒸発が遅い) |
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対策 | @.塗装の厚みを加減する。 A.シンナーの希釈量を少なくする。 B.又は、速乾形のシンナーに変更する。 |
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処置 | たれ・流れ跡を残さないように研ぎ落とし、再塗装する。 |
刷 毛 目 | |
現象 | 塗装時、刷毛目の筋が目立ち、膜厚が不均一になる。 |
原因 | @.塗料の粘度が高い。 A.塗料の流展性が不足している場合。(調合ペイント等) B.塗装時低温の場合。 C.刷毛が不適当の場合。 |
対策 | @.シンナーの希釈量を多くし適性の粘度にする。 A.刷毛目が少ない合成樹脂塗料を用いる。 B.少量の希釈剤を加える。 C.塗料に合った刷毛を選ぶ。 |
処置 | 跡を残さないように研ぎ落とし、再塗装する。 |
色分かれ | |||||||||||||||||||||||||||||||
現象 | 塗料の顔料が分離して全体の色と違った斑点やしま模様を生じる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
原因 | @.塗料の顔料分散が悪い。 A.シンナーの溶解力不足。 B.厚く塗りすぎ。 C.塗料粘度の不適。 D.混合不十分の場合。 E.顔料の比重が著しく違う場合。 |
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対策 | @.塗料を取替える。 A.適正シンナーの使用。 B.適正膜厚にする。 C.適正粘度にする。 D.十分に攪拌する。 E.製造時のチェック。 |
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処置 | 塗面を研磨し再塗装する。 |
糸引き | ||
現象 | 吹付け塗装時、ノズルからの塗料が霧状にならず蜘蛛の糸状になる。 アクリル系・ゴム系の塗料になりやすい。 |
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原因 | @.シンナーの溶解力不足。 A.蒸発速度が速い。 B.チップが小さい。 |
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対策 | @.シンナーを溶解力のあるものに変更する。 A.蒸発速度の遅いシンナーに変更する。 B.チップの口径の大きいものを使用する。 |
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処置 | ― |
ハジキ・凹み | ||
現象 | 塗面に塗膜が押しのけられたような凹みが生じる。 乾燥中の塗面に相溶性のない異物が付着し、その影響でハジキになる。 |
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原因 | @.塗装現場の近くでワックス・シリコンを使用している。 A.スプレー使用時、エアー中に水・油が混入。 B.異種塗料ミスとの付着。 C.厚塗り。 D.塗料中の添加剤不適。 |
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対策 | @.諸原因の除去。 A.エアートランスホーマーで水分・油を除去する。 B.塗料を取り替える。 C.希釈率を上げ、粘度を下げる。 D.塗料中の添加剤を適正のものに替える。 |
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処置 | ハジキの個所を完全に研ぎ落とし、再塗装する。 |
ぶつ・ごみ | ||
現象 | 塗膜の表面に突起物ができる。 塗膜に異物が付着して凸状になる。 |
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原因 | @.塗装周辺の汚れ。 A.スプレーガン洗浄不良。 B.塗料が濾過されていない。 C.沈殿している塗料の攪拌不足。 |
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対策 | @.塗装周辺はほこりが出ないように常に清掃し、ほこりの浮遊を防ぐ。 A.スプレーガンは使用後、良く洗浄する。 B.塗料の濾過を充分に行う。 C.塗料の攪拌を充分に行う。 |
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処置 | ぶつをナイフ、又は砥石で削り取り、研ぎカスを取り除いた後、タッチアップする。 |
オレンジピール(ゆず肌・ガン肌) | ||||||||||
現象 | 塗面がオレンジ表皮のような凹凸状の塗り肌になる。 塗膜になる過程で、溶剤を蒸発させる際に未乾燥塗膜内部で対流現象(ボルテックス)を生じる。 その時の流動が早く止まると起きる。 |
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原因 | @.塗装環境が高温。 A.シンナーの蒸発が速い。 B.粘度が高い。 |
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対策 | @.A.溶剤の蒸発速度を遅くする。 B.粘度を下げる。 |
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処置 | 耐水ペーパー#500・#800・#1000の順序で水研ぎし、コンパウンド中目・細目・極細に磨き上げる。 メタリックの場合は、クリヤー層のみ研ぎ落としクリヤーを再塗装する。 |
ブラッシング(白化・カブリ) | |||||||||||||||||||||||||||||||
現象 | 塗膜表面にかすみがかかったように、白くボケて艶が無くなる。 ラッカー系塗料に多く見られる現象で、高温多湿条件下で起き易い。 溶剤の急激な蒸発により空気中の水分が塗面上に凝結し艶が無くなる。 |
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原因 | @.塗装環境の湿度が高い。 A.シンナーの蒸発が速い。 |
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対策 | @.A.遅い溶剤で、急激な蒸発を押え、水分の凝結を無くす。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
処置 | 研磨後、適正シンナーで希釈した塗料で再塗装する。 |
つやの不良 | ||
現象 | 塗膜に所期のつやが出ない。 | |
原因 | @.下地の吸込みが著しい。 A.下塗、プライマーなどの面が粗すぎる場合。 B.シンナーが不適切であったり、希釈しすぎた場合。 C.薄塗りしすぎた場合。 D.ブラッシングを生じた場合。 |
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対策 | @.シーラー又は下塗塗料で吸込みを止める。 A.上塗を塗り重ねる。 B.適切なシンナーを使用する。 C.適度の塗膜厚に塗装する。 |
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処置 | 研磨後、適正シンナーで希釈した塗料で適正膜厚に再塗装する。 |
ちぢみ(シワ・ヒダ・) | |||||||||||||||||||||||||||||||
現象 | 塗膜表面が激しいシワ状になる。 塗膜の表面層と内部層のひずみによって起きる。 酸化乾燥するフタル酸樹脂系のように乾燥過程で起きるもの。 再塗装時などの旧塗膜と上塗りの乾燥速度及び溶剤の溶解力との関係で発生するもの。 |
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原因 | @.厚塗り。 A.乾燥不足塗膜上の再塗装。 B.溶解力の強い溶剤の使用。 C.ノンブラッシングの入れすぎ。 |
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対策 | @.必要以上の厚塗りは避ける。 A.未反応塗膜の塗り重ねは要注意。 B.下塗り・上塗りの組み合わせは異種塗料をなるべく避ける。 C.ノンブラッシングは多量に用いない。 |
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処置 | チヂミの個所を剥離して再塗装。 |
にじみ | |||||||||||||||||||||||||||||||
現象 | 上塗り塗色面へ下地の塗色や素材の成分が浮き(にじみ)出てくる。 被塗物や旧塗膜に含まれている可溶性物質(顔料・可塑剤・タール等)が、上塗りの溶剤によって 溶出してくる。 |
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原因 | @.塗料の顔料ににじみ顔料が使用。 A.被塗物にタール等が付着。 |
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対策 | @.にじみ要因のある上に塗る場合、ためし塗りをする。 A.シーラーなどで完全にシーリングするか又は剥がす。 |
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処置 | にじみの要因を除去するか、シーラーで押える。 |
塗料と塗装の欠陥と対策