15章 左官工事
8節 せっこうプラスター塗り
15.8.1 一般事項
この節は、せっこうプラスター塗りに適用する。
15.8.2 材 料
(1)せっこうプラスターは、JIS A 6904 (せっこうプラスター) による。下塗り及び中塗りに
用いるせっこうプラスターは、骨材等を工場で調合した既調合プラスター (下塗り用)
又は現場調合プラスター (下塗り用) とし、適用は特記による。
なお、せっこうプラスターは、製造後4箇月以上経過したものは使用しない。
(2)水は、15.3.2(2)による。
※15..3.2.(2)
水は、原則として水道水を使用する。
但し、井水を使用する場合は、清浄で塩分、鉄分、硫黄分、有機物等を有害量含まない
ものとする。
(3)下地モルタル用の材料は、15.3.2による。
15.8.3 調合及び塗厚
(1)壁の場合の工程及び塗厚は表15.8.1により、○印の工程を行う。
表15.8.1 せっこうプラスター塗りの工程及び塗厚 | |||||
下 地 | 塗り層 | プラスター | 塗厚 (mm) |
備 考 | |
下塗り用 | 上塗り用 | ||||
コンクリート、 コンクリート ブロック、 レンガ、 ラス類 |
− | − | − | 6 | 15.8.5(1)の下地モルタル塗り |
下塗り | ○ | − | 6〜8 | − | |
中塗り | ○ | − | 5〜7 | ||
上塗り | − | ○ | 3〜5 | ||
せっこう ラスボード せっこうボード |
下塗り | ○ | − | 6〜8 | − |
中塗り | ○ | − | 5〜7 | ||
上塗り | − | ○ | 3〜5 |
(2)上塗りは、既調合プラスター(上塗り用)又はしっくい塗りとし、適用は特記による。
なお、上塗りがしっくい塗りの場合、10節[しっくい塗り]による。
(3)下地がせっこうボードの場合、下塗り及び中塗りに用いるせっこうプラスターは、
既調合プラスター (下塗り用) とする。
15.8.4 下地処理
下地処理は、15.3.4による。
15.8.5 工 法
(1)下地モルタル塗りは次による。
(ア)コンクリート類の場合、調合がセメント1:砂2 (容積比) のモルタルを下地全面に厚さ
6mm塗り付ける
(イ)メタルラス類の場合、調合がセメント1:砂3 (容積比) のモルタルでラス付けに引き続
いてラス面からモルタルを全面に厚さ6mm塗り付ける。
(b) 下地モルタル塗り。
(ア)コンクリート類の場合は、調合がセメント 1 : 砂 2 (容積比)のモルタルを厚さ6mmに
下地全面に塗り付ける。
(イ)メタルラス類の場合は、調合がセメント 1 : 砂 3 (容積比)のモルタルでラス付けに
引き続いてラス面から厚さ6mmにモルタルを全面に塗り付ける。
(ウ)(ア)及び(イ)以外は、15.3.5(1)(ア)(e)による。
(2)せっこうプラスターは、水を加えてよく練る。下塗り及び中塗りには、加水後2時間以上、
上塗りには、1.5 時間以上経過したものを使用しない。
(3)下塗りは、次による。
(ア)コンクリート類及びラス類の場合は、下地モルタルが硬化して、ひび割れ等が発生し、
乾燥した下地に吸水調整材を全面に塗布し、吸水調整材の乾燥後、こてでよく押さえ、
すり付けて塗る。
なお、吸水調整材は、吸水調整材の製造所の仕様による。
(イ)せっこうラスボード及びせっこうボードの場合は、ボードにくい込むよう、こてですり付けて塗る。
(ウ)(ア)及び(イ)のいずれの場合も、表面にほうきの類で荒らし目をつける。
(4)中塗りは、下塗りが硬化した後に行い、出隅、入隅、開口部回りその他の要所は、正確に、
ちり回りは、正しく塗り付け、硬化の程度を見計らい木ごてで平坦にする。
(5)上塗りは、中塗りの水引き具合を見計らい、吸水調整材を全面に塗布し、吸水調整材
の乾燥後仕上げごてで仕上げる。
なお、吸水調整材は、吸水調整材の製造所の仕様による。
15.8.6 養 生
(1) 塗り作業中は、可能な限り通風をなくす、施工後もせっこうが硬化するまでは、著しい
通風を避ける、その後は適当な通風を与えて塗り面の乾燥を図る。
(2)塗付場所の気温が低い場合は、施工を行わない。ただし、やむを得ず施工を行う場合
は、適切な採暖をする。また、上塗り後は、採暖による汚れを生じないよう注意する。
なお、室内を締め切らず、加湿及び通風を与え、壁面の硬化を図る。