9章 防水工事
5節 塗膜防水
9.5.1 一般事項
この節は、コンクリート下地に、屋根用塗膜防水材 (ウレタンゴム系、ゴムアスファルト系) を
用いて施工する塗膜防水に適用する。
9.5.2 材 料
(1) 主材料
塗膜を形成する材料は、JIS A 6021 (建築用塗膜防水材) の屋根用に基づき、種類はウレ
タンゴム系高伸長形又はゴムアスファルト系とし、立上り部は立上り用又は共用を用いる。
(2) 保護緩衝材。
地下外壁防水の保護に使用する場合、保護緩衝材の材質は補強クロス付きポリエチレン発泡
材とし、厚さ5mm以上のものとする。
(3) 絶縁用シート
屋内防水層と保護コンクリートを絶縁する目的で使用する場合、絶縁用シートは、9.2.2(10)
によるポリエチレンフィルム又はフラットヤーンクロスとする。
(4) その他の材料
プライマー、補強布、接着剤、通気緩衝シート、シーリング材、仕上げ塗料等は、主材料の製造
所の指定する製品とする。
(参考)
9.2.2(10)
絶縁用シートに使用する材料は、特記による。特記がなければ、屋根保護防水密着工法
又は屋根保護防水絶縁工法の場合は、ポリエチレンフィルム厚さ 0.15mm以上のものとし、
屋根保護防水密着断熱工法又は屋根保護防水絶縁断熱工法の場合は、ポリプロピレン、
ポリエチレン等を平織りしたフラットヤーンクロス (70g/u程度) とする。
9.5.3 防水層の種別及び工程
(1) ウレタンゴム系塗膜防水は、次による。
(ア) 防水層の工程による種別及び工程は、表9.5.1により、適用は特記による。
表9.5.1 ウレタンゴム系塗膜防水の種別及び工程 | ||||
種別 | X−1(絶縁工法) | X−2(密着工法) | ||
工程 | 材料・工法 | 使用量 (kg/u) |
材料・工法 | 使用量 (kg/u) |
1 | 接着剤塗り 通気緩衝シート張り(注)5 |
0.3 | プライマー塗り | 0.2 |
2 | ウレタンゴム系塗膜防水材塗り | 3.0 (注)1 (注)4 |
ウレタンゴム系塗膜防水材塗り 補強布張り |
0.3(注)1 |
3 | ウレタンゴム系塗膜防水材塗り | ウレタンゴム系塗膜防水材塗り | 2.7(注)1 (1.7) (注)2 (注)4 |
|
4 | 仕上げ塗料塗り(注)6 | ― | ウレタンゴム系塗膜防水材塗り | |
5 | ― | ― | 仕上げ塗料塗り(注)6 | ― |
(注) 1. 表中のウレタンゴム系塗膜防水材の使用量は,硬化物密度が 1.0mg/m3である材料の場合 を示しており,硬化物密度がこれ以外の場合にあっては,所要塗膜厚を確保するように使用量 を換算する。 2. 立上り部はすべて,種別 X−2 とし,工程 3 及び工程 4 を ( ) 内とする。 3. ウレタンゴム系塗膜防水材塗りについては,1 工程当たりの使用量を,硬化物密度が1.0mg/m3 である材料の場合,平場は 2.0kg/u,立上りは 1.2 kg/uを上限として変更することができる。 4. ウレタンゴム系塗膜防水材塗りは 2 回以上に分割して塗り付ける。 5. 接着剤以外による通気緩衝シートの張付け方法は,主材料の製造所の仕様による。 6. 仕上塗料の種類及び使用量は、特記による。特記がなければ、使用量は、主材料の製造所の 仕様による。 |
(イ) 種別X−1において、脱気装置の種類及び設置数量は、特記による。
特記がなければ、主材料の製造所の仕様による。
(2) ゴムアスファルト系塗膜防水は次による。
(ア) 防水層の工程は、表9.5.2により、適用は特記による。
表9.5.2 ゴムアスファルト系塗膜防水の種別及び工程 | ||||
種別 | Y−1(注)1 | Y−2(注)1 | ||
工程 | 材料・工法 | 使用量 (kg/u) |
材料・工法 | 使用量 (kg/u) |
1 | プライマー吹付け又は塗り | 0.2 | プライマー塗り | 0.2 |
2 | ゴムアスファルト系塗膜防水材 吹付け又は塗り |
7.0(注)2 | ゴムアスファルト系塗膜防水材塗り 補強布張り |
4.5(注)2 |
3 | 保護緩衝材 | ― | ゴムアスファルト系塗膜防水材塗り | |
4 | ― | ― | 絶縁シート | ― |
5 | ― | ― | 保護コンクリート又は保護モルタル | ― |
(注) 1. Y−1 については地下外壁防水,Y−2 については屋内防水に適用する。 2. 表中のゴムアスファルト系塗膜防水材の使用量は,固形分 60% (質量) である材料の場合 を示しており,固形分がこれ以外の場合にあっては,所要塗膜厚を確保するように使用量 を換算する。 3. 工程数及び各工程の使用量は、特記による。特記がなければ、使用量は、主材料の製造所 の仕様による。 |
(イ) 種別Y−2における保護層(工程4及び工程5)の適用は、特記による。
9.5.4 施 工
(1) 防水層の下地は、次による。
(ア) 防水層の下地は、9.2.4(1)による。ただし、出隅は通りよく 45°の面取りとし、入隅は通
りよく直角とする
(イ) ルーフドレン、和風便器、配管等と防水下地材との取合いは、7節により、防水下地材
に応じた適切なシーリング材で措置を講ずる。
(2) プライマー塗りは、下地が十分乾燥した後に清掃を行い、ローラーばけ等を用いて当日
の施工範囲をむらなく塗布する。
(3) 下地の補強は次による。
(ア) コンクリートの打継ぎ箇所等で防水上不具合のある下地は、U字形にはつり、シーリン
グ材を充填したうえ、幅100mm 以上の補強布を用いて補強塗りを行う。ただし、種別X-1
における通気緩衝シートの下になる部位については、主材料の製造所の仕様による。
(イ) 出隅及び入隅は、種別 Y−1の場合は幅200mm以上、種別Y−2 の場合は幅100mm
以上の補強布を用いて補強塗りを行う。
なお、種別Y−1の補強塗りは、増吹き又は増塗りする場合、補強布を省略することが
できる。
(ウ) ルーフドレン、配管等の取合いは、幅100mm以上の補強布を用いて補強塗りを行う。
(4) 防水材塗りは、次による。
(ア) 防水材は、主材料の製造所の仕様により、可使時間に見合った量及び方法で練り
混ぜる。
(イ) 防水材は、材料に見合った方法で均一に塗り付ける。
なお、種別X−2及びY−2の補強布張りは、防水材を塗りながら行う。
(ウ) 塗り継ぎの重ね幅は100mm以上とし、補強布の重ね幅は50mm以上とする。
(5) (1)から(4)まで以外は、主材料の製造所の仕様による。
(参考)
9.2.4(1) 防水層の下地
(ア) 平場のコンクリート下地は、15章4節[床コンクリート直均し仕上げ]による直均し仕上
げとし、その工法は、15.4.3[工法](1)の(ア)から(ウ)まで及び(2)による。
なお、防水層の下地をモルタル塗りの場合、モルタル塗りは、15章3節[モルタル塗り]
により、適用箇所は、特記による。
(イ) 立上りは、特記による。特記がなければ、コンクリート打放し仕上げとし、表 6.2.4[打
放し仕上げの種別]のB種とする。
なお、下地をモルタル塗りの場合は、15章3節による。
(ウ) 出隅及び入隅は、通りよく 45°の面取りとする。
なお、9.2.3(オ)及び(カ)の場合は、入隅に成形キャント材を使用することができる。
平成31年版 公共建築工事標準仕様書 9章 防水工事